FXの「スワップポイント(金利差利益)」についての基本的な知識を紹介します。スワップポイントを目指す取引を検討しているなら、その利点や考慮すべき点をしっかりと理解してから決定を下すことが重要です。
FXスワップおよびFXスワップ取引とは何か?
FXスワップやFXスワップ取引という用語は、FX取引におけるスワップポイントに焦点を当てた取引を指します。
スワップポイントとは、2つの国の通貨間で生じる「金利の違い」に基づく損益を示します。高金利の通貨を購入し、低金利の通貨を売ると、プラスのスワップポイントが発生します。しかし、逆に低金利の通貨を購入し、高金利の通貨を売ると、マイナスのスワップポイントが生じます。
例えば、「豪ドル/円」を購入して保有した場合、オーストラリアの政策金利0.75%と日本の-0.1%の金利差は0.85%となります。これらの金利差はスワップポイントとして手に入れることができます(政策金利は2020年1月時点のもの)。
FXスワップポイント取引の3つの主要な利点
FX取引において、スワップポイントを目標にした運用には、主に3つのメリットがあります。
【FXでスワップポイントを追求する投資の利点】
- ポジションを維持するだけで手間がかからない
- 精神的ストレスを減らすことができる
- レバレッジを利用して金利差利益を追求することが可能
ポジションの保持だけで手間がかからない
スワップポイントはポジションを保有しているだけで毎日得られます。したがって、手間がかからずにプラスのスワップポイントの取引を続けることが可能です。
FX取引では通常、価格予測を立てるためにチャートや経済ニュースをチェックし、適時に注文を出すことが必要です。これに対し、スワップポイントの取引では時間をかけずに取引を行うことが可能です。
精神的ストレスを軽減する
スワップポイントによる収益は日毎にわずかな額ですが、これにより取引による精神的ストレスを軽減できます。大きな利益を求めると欲が生じることがありますが、この欲を管理するのは困難です。しかし、毎日少しずつ利益を積み重ねるという考え方を持つことで、無理な取引を行うリスクを軽減できます。
レバレッジを活用して金利差収益を追求できる
FXでは外貨預金とは違い、レバレッジを利用して少ない資金で大きなスワップポイントを追求することが可能です。レバレッジは手持ちの資金以上の取引を可能にしますが、これがリスクとなり得ます。しかし、無理な取引をせずに低レバレッジを維持することで、有利な取引制度として活用できる可能性があります。
例えば、南アフリカランド円でスワップポイントを目指す場合を考えてみましょう。レートが1南アフリカランド=8円、保有通貨量が10000通貨、1日のスワップポイントが9円とする場合、レバレッジ1倍で取引すると必要な資金は80000円となりますが、レバレッジ2倍で取引すれば最低必要資金は40000円となります。どちらの場合でも、スワップポイントの金額は変わらないのです。
FXスワップポイント取引の留意事項
FXでスワップポイントを重視した取引の利点を説明しましたが、次の点も考慮する必要があります。
【FXでスワップポイントを追求する際の留意事項】
- 高金利通貨特有の価格変動
- スワップポイントが支払いに転じる場合がある
- スワップポイントの利益は課税の対象
高金利通貨特有の価格変動に留意
スワップポイントが高い通貨ペア、いわゆる高金利通貨は独特の価格変動があります。これらの通貨は、しばしば政治的または経済的に不安定な状況にあり、その影響は為替レートにも現れます。
主要な通貨ペア、例えば米ドル/円やユーロ/米ドルでは、価格が一定期間にわたって大きく上昇したり下落したりすることは少ないと言えます。しかし、高金利通貨の場合は、数年にわたって価格が下落し続けることもあります。例として、2008年には1トルコリラ=90円だったが、2020年1月には1トルコリラ=18円となっていることが挙げられます。
したがって、高金利通貨に特有の為替変動を理解し、リスク管理をしっかりと行うことが必要です。
「マイナススワップポイント」で支払いが必要になる場合もある
FX取引においては、スワップポイントが得られるだけでなく、支払い(マイナススワップポイント)が発生することもあります。特に、低金利の通貨を買い、高金利の通貨を売る場合は、マイナスのスワップポイントが発生します。
例えば、ある年はスワップポイントを受け取ることができていたのに、翌年にはマイナスのスワップポイントとなり、その通貨ペアを保有している間、少しずつ支払いが発生するというケースもあります。世界の金利環境は常に変動し、近年では各国の中央銀行が金利を下げる傾向にあるため、長期間ポジションを保有する場合は金利の動向に注意が必要です。
スワップポイントの利益は課税対象となる
FX取引における通常の利益(売買差益)と同じく、スワップポイントによって得られた利益も課税対象となります。例えば、サラリーマンがFXで得た収益(売買差益とスワップポイント利益を合算)が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要となります。したがって、年間を通じた収益額を把握しておくことが重要です。
まとめ
FX取引におけるスワップポイント狙いのメリットと留意事項を把握した上で、取引を考えることが重要です。スワップポイントの高さや、シミュレーションによる1年後の収益予想にだけ目を向けてしまうと、大規模な損失を招く可能性もあるため、注意が必要です。