FXでよくある失敗とは？

FXの魅力は少額の自己資金でも大きな利益を追求できる点にありますが、一方で損失を被る事例も少なくありません。では、具体的にFXでの「失敗」がどのようなものなのか見てみましょう。

FXの取引では、口座に入金したお金を「証拠金」として、それを基に通貨の売買を行います。FXでの失敗というのは、主に「ロスカット」を経験し、その結果として証拠金を大量に失う状況を指します。

買いまたは売りの注文を出した後に保有している通貨ペアを「ポジション（建玉）」と言います。「ロスカット」は、損失が一定の水準に達したときに、更なる損失の拡大を防ぐために保有している全てのポジションを強制的に決済するというルールです。これにより損失額を制限できますが、ポジションを手放したことにより、後に市場が好転しても利益を得る機会が無くなってしまいます。

損失を取り戻すためには新たなポジションを立てる必要がありますが、証拠金が不足すると追加入金が必要となります。資金が追加できない場合、取引をやめるしかないという状況に直面することもあります。

口座に十分な資金を入金すれば、一時的にロスカットを回避しポジションを維持することは可能です。しかし、市場が予想とは逆に動き続けると、評価損が増大し、結果的に資産を大幅に減少させる可能性がありますので、警戒が必要です。

さらに、何らかの予期しない出来事が国内外で起きて為替市場が急変した場合、ロスカットがその変動の速度に追いつかないこともあります。その結果、証拠金がマイナスとなり、そのマイナス分を解消するために追加入金を求められることもあります。

FXの失敗例と対策

FX取引における失敗を回避するためには、取引リスクを正確に理解することが大切です。ここでは、FXで一般的に見られる失敗例と、初心者が実践できる対策について説明します。

① 損切りができない

「損切り」とは、市場が自分の予想と反対の動きをしたときに、損失を確定するためにポジションを決済することを指します。これは損失の拡大を防ぐ効果的な手段ですが、特に初心者は「損切りせずに待っていれば、市場状況が改善するかもしれない」と考え、損切りをためらうことがあります。

その対策として基本的なのは、「損切りのルール」を設定することです。例えば、1回の取引での最大損失を証拠金の2％以下に抑えるなどのルールを設けると良いでしょう。また、事前に損切りを設定できる「逆指値注文（ストップ注文）」を用いることを推奨します。これは、「値が上がったら買う」または「値が下がったら売る」という注文を現在のレートより先に設定するもので、感情的な決定を排除し、自動的に決済を行うことができます。

② 過度なレバレッジの利用

レバレッジとは、手持ちの資金以上の金額で取引を行うことができるシステムです。例えば、1ドル＝100円の米ドル/円取引で1万通貨（100万円分）の取引を行いたい場合、通常は100万円が必要となります。しかし、10倍のレバレッジを利用すれば10万円でも取引が可能となり、これがFXの大きな魅力となっています。

国内のFX業者ではレバレッジは最大25倍（個人口座の場合）まで設定でき、レバレッジが高ければ高いほど利益は大きくなりますが、一方で損失も大きくなるリスクがあります。高レバレッジの取引では、余裕資金が少ないため、市場がわずかに予想と反対方向に動くだけでロスカットが発生する可能性が高くなります。

初心者は、このリスクを理解し、まずは低レバレッジから始めることが推奨されます。

③ 感情に基づいて頻繁に不必要な取引をする

FXは24時間取引が可能で、絶えず利益を得る機会が存在します。そのため、「ポジポジ病」と称される、常にポジションを保持しようとする状態に陥る人もいます。

しかし、無理にポジションを保持すると、根拠のないトレードになり、損失が積み重なる可能性があります。継続的な利益を得るためには、マーケット情報の収集と分析が必要で、市場のトレンドが読めない場合は取引を控えることも重要です。不必要な取引を避けるため、ポジションを保持する条件を事前に設定しておくことを推奨します。

④ 複数の通貨ペアに散漫に手を出す

FXでは多様な通貨ペアが取引可能ですが、あまりに多くの通貨ペアに同時に手を出すと、各ポジションの適切な管理や情報収集が難しくなり、売買の最適なタイミングを逃す可能性があります。

取引を行う通貨ペアはできるだけ限定することをおすすめします。通貨ペアの特性を理解し、適切なタイミングで売買を行うためには、特定の通貨ペアで経験を積むことが重要です。特に初心者は、情報収集が容易で、取引量が多く価格の動きも安定している米ドル/円の取引が適しているでしょう。

⑤ スワップポイントを狙う

スワップポイントは、2つの国間の金利差から得られる利益を指します。具体的には、高金利の通貨を購入し、低金利の通貨を売るとスワップポイントを受け取ることができます。為替レートの変動から得る利益以外にも、スワップポイントから利益を得られるのがFXの魅力の一部です。

しかしながら、スワップポイントだけに焦点を当てて取引を行うと、相場が不利な方向に動いた際に為替差損が大きくなり、スワップポイントの利益を上回る損失が発生する可能性があります。特に、高金利の通貨を発行している国は、政治や経済の状況が不安定であることが多く、急激な為替相場の変動によるカントリーリスクが高い場合があります。

スワップポイントを狙う場合でも、大きな為替変動を予測して、低レバレッジで運用するのが推奨されます。レバレッジを低く設定しておけば、価格がある程度変動してもロスカットされにくくなります。

失敗を避ける方法

技巧だけでなく、知識と経験を蓄積することがFXでの失敗を防ぎ、利益を増やすための重要な鍵となります。常に取引に関する学習と情報収集を続けることで、市場の動向をより容易に予測することができます。

また、自身の能力を超えたレバレッジを使用せず、少ない取引数量で取引を行うことも重要です。取引数量を多くしたり、レバレッジを高くしたりすると、損失が大きく膨らむ可能性があります。一度の失敗で資金が尽きてしまうと、経験を積む機会も失われます。

後悔のない取引を行うためには、取引の状況を振り返ることも有効です。「なぜそのタイミングでポジションを持ったのか」「なぜルールを守らなかったのか」などを詳細に分析し、それを次の取引に活かすことで、徐々に取引のコツを掴むことができるでしょう。

FXでの失敗を避ける秘訣はルール設定

FXでの「失敗」の定義や、具体的な失敗例に対する対策について説明しました。

ロスカットを回避し、大きな資金減少を防ぐことがFXの重要なポイントです。利益獲得にだけ焦点を当ててしまうと、リスクの高い取引をすることになりがちです。一定期間の成功率が高かったとしても、一回の取引で大きな資金を失うと、全体のバランスがマイナスになり、取引の継続が難しくなることがあります。

それゆえ、初心者の場合、一定のルールを設定して取引することが推奨されます。損切りのルールや通貨ペア、取引のタイミングなどについて、無理のない設定を検討しましょう。FXでは、知識と経験があるほど有利になる場面が多いです。日常的に取引に関する情報を収集し、取引を記録するといった行動を積み重ねることが重要です。